2013年3月21日木曜日

クローン桜、ソメイヨシノ

JR恵比寿駅付近明治通りのソメイヨシノ.2013.3.20撮影(まだまだ見頃はこれからです)





(2012年8月9日に書いた日記。新宿花園神社の参道にて。桜の花が咲いたらアップしようと思っていました。本日アップします。)

正確な数字は調べようがないそうですが、日本の桜の90%はソメイヨシノだという説があるそうです。
一口に「桜」と言ってもたくさんの種類があり、自生種(自然に生えてきた桜)ではヤマザクラ、オオシマザクラ、カスミザクラ、エドヒガン、マメザクラ、タカネザクラ、カンヒザクラなどなどたくさんあります。
この上さらに「里桜」と呼ばれる園芸品種(人が育ててきた桜)が三百以上あるのです。桜の園芸品種の歴史は古く、普賢堂(ふげんどう)または普賢象(ふげんぞう)という桜は室町時代までさかのぼります。江戸時代後半になると華やかな八重桜が好まれ、百をこえる品種が新たに開発されました。(一葉・いちよう、関山・かんざんなど)これらの多くの桜は咲く時期も異なり、春だけではなく、一年中日本のどこかで桜が咲いています。

さて、これほど多種多様な桜がある中で、私たちが目にする桜のほとんどがソメイヨシノ(染井吉野)というたった一つの品種で占められているなんて不思議ですね。
ソメイヨシノは桜の歴史の中では比較的新しく、江戸時代に東京の染井村でオオシマザクラとエドヒガンの交配からできたと考えられています。このソメイヨシノには種子から育った樹はありません。すべて接木や挿し木によってふやします。つまりソメイヨシノの木の一部を切り取って、新たな樹に育てたものです。これによって元の樹の形質はそのまま引き継がれ、複製(クローン)ができているわけです。クローンだから性質も花の色なども同じです。ソメイヨシノの花は一斉に咲いて一斉に散り、景色も白い雲のようにそっくりです。これは皆クローンなのだから。そう思うとあの美しい花見の景色もなんだか違って見えます。形質が同じということは市場的にも出回りやすく、そのことも普及した理由のひとつでした。

さらに気になること。今目の前にある花園神社のソメイヨシノはとても古く幹肌もゴツゴツとしていますが、上野公園などの花見の名所でもソメイヨシノの大木は古いものがとても多い。戦後まもなく国民の意識を鼓舞するために全国いっせいに華やかなソメイヨシノが植えられましたが、これらは寿命が長くて80年と言われています。終戦の年1945年から80年後は2025年。その頃にソメイヨシノは一斉に枯れてしまうのでしょうか。


2012.8.9.花園神社でのスケッチ(とても暑い日でした)



参考文献・桜が創った日本(岩波新書)
・日本人は桜のことを何も知らない(Gakken)

2 件のコメント:

がるうぃん さんのコメント...

こんばんわ。
東京は週末、桜が満開だったようですがこちら浜松はこれからです。
今年はどういうわけか桜前線が東からやってきますがどうしちゃったんでしょう。

本題のソメイヨシノが挿し木か接ぎ木しかないというのは聞いた覚えがあります。
さくらんぼを付けた桜の木をみた記憶がないのですが、ソメイヨシノ同士で受粉
しないのか、ソメイヨシノはそもそも実がならないのかどっちなんでしょう?

タマネギ Tamanegi さんのコメント...

こんにちは。東京は昨夜雨が降ってとても寒かったです。桜が心配でしたが、なんとかもっているようです。一転して今日はとても良い天気。電車の中に袴姿やスーツ姿の卒業生の皆さんが乗っていらっしゃって華やいだ雰囲気です。
さて、ご質問のお答え。少し長くなったので。今日のブログの方にアップしますね。