2012年9月12日水曜日
ムササビその2
さてさてムササビツアーの続きです。
■14時半
高尾山口駅前集合。老若男女40名ほどいらっしゃったでしょうか。
すぐ近くの高尾森林センターに移動し今日のイベントの説明とご挨拶がありました。
とても恥ずかしいムササビ体操を全員でやって体をほぐし出発です。
ケーブルカー清滝駅から乗って高尾山駅で降りました。
このケーブルカーは最大傾斜度31度18分で日本一急勾配。
車窓の景色の変化が楽しい。
■15時半
これから足で山登りです。
1号路と4号路を通って山頂を目指します。途中ヤマホトトギス(植物ですよ)、
タマアジサイ、クサギなどの花を観察しました。
詳しいインストラクターの方が説明して下さるのでとても勉強になります。
友人らと登る時はマイペースで途中好きなところでスケッチ休憩をとったりしますが、
今日は団体行動なのでどんどん歩きます。
いつもなら数種類くらいの観察がとても沢山のものになりました。
スケッチは出来ませんでしたが写真を撮ったので後日調べてみようと思います。
数えてみたら私のメモは樹木 17 種、草花 10 種ととても沢山になりました。
インストラクターの方々のおかげです。
これらの植物レポートも後日紹介させて頂きたいと思います。
■16時半
山頂到着。空気が澄んで西側遥か彼方に富士山が見えます。
雄大な景色を皆で楽しみました。
それから、軽い夕食を取り17時40分、いよいよムササビ観察です。
期待で気持ちが高揚してきます。
山頂から下って薬王院に移動しました。
薬王院は1260年前に開山したと伝えられる古刹で多くの参拝客で賑わいますが
今はもう時間が遅いので人もまばらで静かです。
だんだん暗くなってきました。
日没は18時。日没から30分くらいたつとムササビは活動を始めるそうです。
■ムササビについて
ここでムササビについて少しご紹介します。
リス科
学名Petaurista leucogenys
「ムササビはリスの仲間。体長28〜49cm。体重0.5〜1.25kg。背中の毛が褐色でお腹は白。
中国のほか日本の本州、四国、九州各地の森の中に住んでいます。
夜行性で、昼の間は木の穴や木の上の巣で休んでいますが、
夜になると森の中を飛び回って木の芽や葉、実、昆虫などを食べます」
(動物不思議図鑑。動く図鑑ムーブ/ともに講談社)。
皮膜(※「飛膜」と書いた図鑑もあります)とはわき腹の皮膚が広がったもので、首から前足、後ろ足、尾にかけてつながっています。
尾は滑空している時、体が傾くのをふせいだり、向きを変えたりする役割があります。
■ムササビの滑空
さて、図鑑には「飛び回って」と書いてあったのですが、
正確には「滑空して」の方が正しいと思います。
ムササビは高い木の上から風の吹いてくる方向に飛び出し皮膜を広げて
風を受けて遠くの木に飛び移ります。いわゆる滑空。
この時の1回の滑空距離は30mから100mをこえることもあるそうです。
そしてその木の上方によじ登りまた次の目標の木を目がけて滑空。またよじ登る。
というようにジグザグに移動していきます。
地上を歩かないのは安全ですよね。
着地(着木?)の時、指の爪で木の幹に飛びつくので木の幹には鋭い爪の痕が残ります。
■ムササビの巣
私たちが観察したのは大きなケヤキの木の穴でした。
インストラクターの方に伺うと
「キツツキが開けた穴などを大きくしたりして巣にする。
昼間の間ずっと寝ていて巣の中にフンをするので汚れてきたら別の巣に移動する。
フンが乾いた頃また戻ってくる」のだそうでムササビはこのような自分の別荘を
いくつか持って引越ししているそうです。うらやましい・・・
外で排泄すればいいのに…と思いましたが
巣の周りにフンがあったら敵に見つかってしまうからでしょうか。
ちなみに天敵はフクロウだそうです。
フクロウは鋭い目で獲物を見つけると音も無く飛来して襲うそう。
「このフクロウの音のしない羽をモデルにして新幹線のパンタグラフが開発された」
というお話もありました。
■ムササビは美食家
ムササビは木の葉を主に食べますが、まわり中樹木だから食べ物には
不自由しないように思えます。
ムササビは日没から30分たつと巣を出て食事に出かけ明け方にもどってくるそうです。
その時葉っぱをちょっと齧っては捨ててしまうのだとか。
葉っぱを縦に二つ折りにして齧って捨てるので葉の両側に同じような
ギザギザの歯型がついた葉っぱが落ちていたらムササビの食べ残しだそうです。
図鑑にはさらに「春には木の若葉、夏〜秋にかけては木の実、冬には木の冬芽などを食べる」
とありました。四季折々旬のものを食べているわけですね。
冬は大変かもしれません。冬眠はしないのですね。
■ムササビの顔
地上数十mもの高さにあるムササビくんの巣を地上から見上げていたのですが、
巣の中に赤い目玉が二つ光っているのが見えました。
目玉が二つ並んでいる…つまり…ムササビくんは目が顔の前についているのです。
だからちょっとお猿さんにも似ているな~と思いました。
ムササビと同じように皮膜を広げて滑空する動物にモモンガがいますが、
モモンガは目が横向きについています。
いわゆるリスの顔で私はモモンガの顔の方が可愛らしい様な気がします。
■鳴き声
飛び立つ時に鳴くそうです。「グルル~」だったでしょうか。私はよくわかりませんでした。
■子育て
春と秋が繁殖期。1〜2匹の子どもを産むそうです。
私たちが観察したのは親子の3匹で母親と子供二匹だということでした。
お父さんはどこに行ったんでしょう。
■ムササビとよく似ているモモンガについて
モモンガには九州、四国、本州に住むニホンモモンガと北海道にすむタイリクモモンガがいます。
くらし方や飛び方はムササビとよく似ていますが、体長は約15cmと小さく、
目の位置も違いますね。
飛膜の付き方もモモンガの飛膜は前肢と後肢の間だけですが、
ムササビの飛膜は前肢と首、後肢と尾の間にもあります。
毛は背中の色が灰色、お腹が白いので飛ぶ様子がハンカチに似ているため
「空飛ぶハンカチ」とも呼ばれています。
それからモモンガは山の高いところ、ムササビは低いところと棲み分けもあるようです。
次回はムササビツアー夜18時(日没)から21時(解散)までのお話です。