近くの公園で、時々マツをスケッチしています。
マツは池の岸辺から水面の方に向かって何本も分かれた枝を伸ばし、まるで生きもののように激しくくねらせています。私は勝手に「ヤマタノオロチ」と呼んでいて、見るたびにその迫力に圧倒されます。
春にはクロッキー帳に2Bや4Bのエンピツで荒々しい幹肌を強いタッチで描きました。細い針葉はHBを紙に垂直に立てて一本一本細かく描きました。そして、最後に練り消しで葉の先端部分をさーっと撫でるように消すと、松葉がけむるように見え、面白いなと思いました。
今日はペンなので、消しゴムは使えません。針葉が力強く見えるように先端から根元の方向に力を入れてスッと抜く様なタッチで描いていきました。遠くから見てもマツの葉というものは一本一本力があるように見えます。心の中で力を込めて描きました。
六本の「撞木(しゅもく)」と言われる丸太を組んだものが水面すれすれに伸びている枝を支えているのも良い景色です。絵では撞木を全部描ききれず省略しました。
始めの構図は、主題のマツを中央に置き、遠景に見える岸辺の雪見灯籠や根元にあるツツジやツゲの低木類もいれてみたのですが、マツの迫力が生かされていない気がして、描き直しました。
こういう時、安いF1のスケッチブックなのでとても気が楽です。次は思い切って、マツと池の水面だけの構図にしてみました。最後にバランスを考え下の方に少し紙を足し、縦長の枠にしました。
マツは春も夏も秋も冬も同じ顔で池の岸辺に佇んでいます…花は無いけれどとても存在感がある堂々とした池のマツ。季節の花が見つからない時、「そうだ。マツを描こう」と、ここに来てしまうのです。